無謀にも医学部受験を志していた浪人時代、
試験を間近に控えたある日、
私は不安になってかかりつけのK医師にこう質問しました。
(K医師は京大医学部卒の地元でも評価の高いお医者様です。)
「私の息子は文系なのに医学部を受験すると言うのですが、
ありえる話なのでしょうか???」と。
するとK医師の口から意外な一言が返ってきました。
「お母さん、医者に最も必要な学力は国語力ですよ!
息子さんは国語が得意なのでしょう。
それなら大丈夫ですよ!」
「えー、そうなんですかあー」
あまりに簡潔な返答なので、正直びっくりしてしまいました。
診察中だったのでそれ以上詳しい話は聞けませんでしたが、
その一言には揺るがぬ確信のようなものが込められていました。
実際、息子は大学入試のセンター試験の国語では
現代文で2年連続満点を取りましたし、小論文も得意でした。
私は国語教師として中学高等学校で30年間勤めました。
生意気盛りの中学生は
「どうして国語なんか勉強しなくちゃいけないの。」
などと平気で言ってきたりするので、
その度にこう答えました。
「国語力は全ての勉強の土台になる力だから、
しっかり勉強しないと、他の教科の力も伸びないんだよ。
自分の生まれた国の言葉を母国語というのだけれど、
母国語をしっかり身に付けて深く考えたり、
書けるようにならないと、みんなの心が育たないんだよ。
心が豊かでないと他の教科の学力も伸びていかないんだよ。」と。
ここでいう「学力」とはテストの点数だけを
指しているのではありません。
「心が豊かである」ことが、
いろいろなことに興味や関心を持って行動する、
原動力そのものになるからです。
子どもの心を豊かにし、国語力を身に付けさせるために
一番有効な方法は、
幼児期の「絵本の読み聞かせ」だということは、
とてもポピュラーですね。
大切なことは親がそのことを実行できるかどうかです。
その有効性、重要性をわかったうえで、
我が子の幸せを願って、
楽しんで読み聞かせを実行していけるかどうかが
とてもとても大切なのです。
私自身、母に読み聞かせを
たくさんしてもらった思い出があります。
中でも世界の伝記をよく読んでもらいました。
忘れられないのは、
『ヘレン・ケラー』を母に読んでもらっていた時、
母が私に読んでいるのを忘れたように、
母自身がお話に感動してしまって
泣きながら読んでいた姿です。
何十年たっても記憶から消えない
母の思いとぬくもり。そして言葉。物語。
これらが子どもの心の糧になり、
学力の土台となるのは間違いありません。
伝記は子どもの人格形成に特に効果があるので、
是非読む機会を作っていただきたいです。
私の息子は、小学4年生の夏休みに、
世界の伝記シリーズ20巻くらいを読破し、
1巻ずつノートにあらすじと感想をまとめるという
自由課題に取り組みました。
偉人の伝記を読み、記録することは、
子どもに夢を持つことの素晴らしさを
実感させてくれます。
ありがたいことに図書館で本を借りるのに
お金は全くかかりません。
私も二人の子どもを連れて
図書館に定期的に通い続けました。
子どもが小さい時から、親子で図書館に通い、
絵本や紙芝居を借りて
ひたすら読み聞かせをしました。
私は子どもがお腹にいる時から読んでいました。
乳幼児期は毎日10冊以上を読み聞かせしました。
読み聞かせをするだけで学力がつくのは間違いないので、
ポジティブに楽しみながら読みました。
まだ物心がつかない時からそうしていると、
子どもも図書館が居心地のいい場所だと
思ってくれるようになります。
たくさんたくさん絵本や紙芝居を借りました。
子どもたちにも自分で読みたい本を自由に選ばせました。
遊びに行く感覚で、どんどん図書館に通って下さい。
あまり塾に頼らなくても勉強する子になります。
実際、中学生も高校生も
受験で目覚ましく成績を上げる子は、
もれなく小さい頃から読書に親しんできた子どもです。
今私は個人塾を経営していて、
小中学生の子どもを持つ
たくさんの親御さんと接していますが、
教育費に悩んでおられる方が多いですね。
お悩みを伺うたびに、正直
子どもさんが小さい時に図書館に通っていれば
そんなに教育費をかけずに済んだのにと
いつも思います。
物心がついたら、
自分で読みたい本を選ばせる。
ジャンルは喜んで読むならなんでも良いのです。
私の子どもたちは『ハリーポッター』などの
ファンタジーが大好きでそれを繰り返し
覚えるほどに読みました。
言葉の力物語の力は生きる力の土台になります。
今、子どもたちの自殺などが
社会問題になっていますが、
生きる力を幼児期に育んでおくことが
何より大切なのではないでしょうか?
だから私の孫へのプレゼントもひたすら絵本です。
最初の頃は洋服なども贈っていましたが、
学力にも生きる力にもやはり最も重要で
最も必要な能力は想像力と言語力だと思うからです。
コロナ禍でなかなか家から出られませんが、
これを機会に家族で
読書が習慣化できたらいいですね。
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